「Doctor’s Four Seasons 2018 Autumn vol.48」に掲載されました – メディカルノート事業承継・M&A | クリニック、介護、薬局を中心としたヘルスケアM&Aサービス
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2018.08.03

「Doctor’s Four Seasons 2018 Autumn vol.48」に掲載されました

「Doctor’s Four Seasons 2017 Autumn Vol.48」に、メディカルノート コンサルティング事業部 長田耕一が執筆するコラムが掲載されました。

 

  

 

クリニックM&Aよろず相談所⑤
―譲渡条件決定のメカニズム・その①―

 

前回では、売主と買主、立場が違うことでクリニックの事業価値に対する考え方が異なること説明しました。今回からは、実際の交渉のなかでどの様に譲渡条件が決まっていくかをみていきましょう。

 

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すべての売買価格は需要と供給のバランスに応じて決まります。市場が形成されていれば、その時々の需要供給バランスが共有され、そのバランスを踏まえて取引価格が決定していきます。更に、安定した取引価格により市場が成熟していきます。市場と価格が同時に形成されていくといってもよいでしょう。
M&Aは残念ながら市場としては未成熟で、ましてやクリニックのM&Aは市場としての形を成しているとは残念ながらいえません。このような場合の価格は、需要側と供給側、つまり売主と買主の交渉によって決まっていくことになります。

 

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「クリニックを売却したいのですが、譲渡価格はいくらになりますか?」

 

当社のもとには、こういった質問が毎日のように寄せられています。相談や交渉が進むにつれて何を重要視するかは人それぞれで差が出てきますが、とりあえず最初に気になるのは譲渡価格のようです。これは、当然なことだと思います。
そして、価格は需要と供給で決まるわけですから、当社が買い取るのでない限り「あなたのクリニックは〇〇〇〇円で売れます」と断言することは残念ながらできません。質問に対しては、価格決定のメカニズムを伝えあくまで目安であることを説明したうえで、クリニックの一般的な事業価値の算定方法をお答えしています。
たとえ詳しい算定をという正式な依頼であったとしても、決算書類などの詳細資料を基に行った価格の算定とは別に、当社で実際に仲介をした類似クリニックの事例金額を参考に添えて報告するようにしています。

 

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「銀行は〇〇〇〇円で売れると言っていた。だからこれが正しい譲渡金額なんだ」

 

譲渡価格を銀行や税理士事務所に聞いてみた、という方も多くいます。自院の決算状況を知っているお金の専門家が言っている金額なのだから、それが正しい金額だという気持ちは良くわかります。
しかし、価格決定のメカニズムから考えると、「正しい譲渡金額」というものはそもそも存在しません。「いまこの金額以下で譲渡するのであれば、あと〇年経営を続けてから譲渡した方が得である」という助言ならば良いのですが、説明を省略しているのか「正しい譲渡金額」と理解してしまっているようです。
殆どの銀行や税理士事務所は、お金の専門家ではありますがM&Aの専門家ではありません。また殆どが、譲渡に責任を負わない立場であり、譲渡の実行が自社の利益と相反する立場です。

 

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では、金額算定には意味がないのでしょうか?
決してそういうことではありません。最終的な譲渡価格は交渉の結果であったとしても、幾らで相手を探し始めるかは自由に設定できます。実際にはない「正しい譲渡金額」に縛られすぎずに、相手探しの経過を見ながら設定価格を変えていったり、交渉の過程で価格以外の条件も含めて柔軟な検討を重ねていったりする意識を持つことが大切になります。